しましまな日々

12ステップを通じた問題からの回復について

うまくいかない時のプログラム

この連休は換気扇の油汚れ掃除から、ソファのカバー洗濯やらの地味で時間がかかる家事をどさっと済ませられて、すごく気分がいいです。汗だくになりましたが、家の中が清潔になっていくのは楽しいものですね。

ゴミ屋敷での日々

僕は大学生の時、汚部屋なんてのを通り越した一軒家のゴミ屋敷に何年も住んでましたが、そりゃあ夏は地獄のようでした。詳しく書くとかなり不潔な文章になるので書きませんが、伝染病が出てルームシェアしてた僕含め3名が死ななかったのはただの運でした。僕は錯乱気味に酔っ払って脱衣所に籠城して出てこなかったし。

風呂入ってたかって?聞かないでください笑

 

ビッグブックにおいて、12ステップは家の掃除に例えられます。12ステップの基本コンセプトは、神とあなたの間に障害物(ゴミ)があって、それを取り除いて神と触れ合えば、神があなたを健康な心に戻してくれますよ、というものです。

なので、私たちは行動のプログラム(Step4~9)でその障害物(ゴミ)を取り除き、掃除を継続し(Step10)、そして神と触れ合います(Step11)。その結果、私たちは霊的に目覚めて、神に健康な心に戻してもらい、それを人と分かち合います(Step12)。

 

ゴミは一回掃除すればいいと言うものではありません。僕も大学時代のゴミ屋敷の下宿で、大家さんとトラブって弁護士と大家さんが家の現状を見に来るってことがありました。慌てて2トントラックを何日も借りて2階からゴミをトラックの二台に投げて積み込み、ゴミ処理場まで何往復もして大掃除したことがあります。

それでなんとか最低限、物はなくなり、大家さんと弁護士にもオッケーをもらえたので下宿に住み続けられることができたのですが、まぁその後も酔っ払ってぶっ倒れてるので、下宿はすぐ元よりひどいゴミ屋敷になりました。

掃除は継続してこそ、掃除です。続けないと、大体が前より酷くなるもんです。私たちは自分の内面がゴミ屋敷になったから、大変なことになったのを忘れてはいけませんよね。

スポンサーシップで

さて、閑話休題です。

霊的に目覚めた後も掃除という名のステップワーク(Step10.11.12の継続)は続くのですが、ビッグブックの「解決」を得た後でも私たちには課題がたくさんたくさんあります。

スポンサーを務める時には、自分の利己心に改めて直面することになるでしょう。「スポンシーが俺の思った通りに変わりやがらねえええ」なんてね笑。そんな時こそ自分にプログラムを使うわけです。

 

また、スポンサーがステップワークを案内する時にも技法があるのも事実です。どうやってプログラムを手渡すかにも、技術があります。それはビッグブックに書いてあるものもたくさんありますし、そのスポンサーが身につけた専門性もあります。

例えば、ステップ1で「何もかもに無力」なんてするのは技術的に悪手なわけです。ありがちかもしれませんが、たいていわけわからんくなります。ステップ3以前に利己心の問題を出してきたり、ライフストーリー形式の棚卸しの問題点や、埋め合わせの落とし穴なんてのもあります。

僕もビッグブックと色んな人と教えてもらい、話し合いながら、日々勉強です。

 

なのでスポンサーも「自分のやり方は本当に多くのアルコホーリクの役に立つのか?今のやり方を捨てて、新しいやり方を身につけなくてはいけないのではないか?」と自問自答するものです。それを自問自答しないなら、何か大切なことを忘れているでしょう。

自分がスポンサーから受け継いだものも、捨てなくてはいけない時が来ることはよくあります。

サービスワークで

サービスワークにしてもそうで、グループの運営や地域、地区のサービス活動なんてのも同様です。以前と同じことをしていて結果が出ないのであれば、そのやり方を変えなくてはなりません。

伝統4に明記されているように、AAはいま苦しんでいるアルコホーリクにメッセージを運ぶ霊的共同体です。どうすればメッセージを多くのアルコホーリクに届けられるか、そもそもメッセージを届けられているか、などはいつも自らに問うべきところです。

 

オフラインでミーティングができなくなったらオンラインへ、オンラインで新しいことができるなら、さらに工夫してメッセージを運ぶ、などなどたくさんあります。

同じことをしていれば同じ結果がいつまでも出るはず、なんてのは、酒を飲めばいつだっていい気分になれる、程度の妄想に過ぎません。それが虚偽であることは、12ステップで回復した人ならば知っているはずです。

うまくいかないときに

当然、スポンサーシップででもサービスワークででもうまくいかない時がでてきます。また、失敗もします。しかし、失敗は恐れるものでも嘆くものでもありません。カーツの『アルコホーリクス・アノニマスの歴史』なんかを見てもAAは驚くほど失敗の連続です。しかし、AAはその試行錯誤の中で失敗から学び、成長してきました。

 

これは、12ステップもそうじゃないですか?

 

ステップ1にしても、ステップ4・5の棚卸しにしても、その後のステップにしても、私たちは自分の「役に立たなくなったやり方」や失敗に直面してきたはずです。しかし、それらに直面できたからこそ、今の回復というものがもたらされたはずですし、それを避けることはできなかったはずです。

12ステップで確かに回復した人は、それがわかると思います。なので、以前よりも失敗や変化を恐れることはなくなります。

 

ですので、スポンサーシップやサービスワークでうまくいかなかった時は、自分の側になにか「捨てるべきもの」があるということです。自分の失敗や、自分のやり方がうまくいかなかったことを認めるのは、誰しも愉快なことではないですが、12ステップは「何かを得るプログラムというよりも、捨て続けるプログラム」(『回復の「ステップ」』p.87)でしたよね。

だって、掃除って、役に立たなくなったゴミを「捨てる」から掃除でしょ。じゃあ、まずはそれが「役に立たない」って認めないと。

ピンチはチャンス

だからうまくいかなかった時はチャンスです。自分が捨てるべきものを捨てるタイミングなのでしょう。

僕の場合は、自分のスポンサーに自分がやってもらったステップワークの技法でも、今は使っていないものもあります。また、自分ではスポンシーに対してうまくいくと思っても、そうじゃなかったので、捨てざるを得なかったものも既にいくつもあります。

一気に全てを捨てることはできませんので、少しずつですし、基本テキストである「ビッグブック」から外れるわけにはいきませんが。

 

そうやって、役に立たないものをひーこら言いながら捨てていくと、神と人を頼ることができます。自分のやり方に固執してたら、ビッグブックにある「第六感」(Step11)なんてのも役に立ちません。捨てれば、神は与えてくれます。

僕がまだスポンサーを見つけてない人に「早くスポンサーを見つけることです」と言うのは、そういうことでもあります。あなたは「自分一人でやる」というやり方、もう上手くいかないんじゃないでしょうか?そのやり方、捨てた方がいいんじゃないでしょうか?という問いかけです。

 

しがみつくと、僕はまたゴミ屋敷で暮らすことになります。何かを掴もうと思ったら、まず握りしめてるものを諦めないとね。学ぶということは、そういうことなのだろうと思う連休でした。

それにしても、洗いたてのソファは快適です。

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