最近の徒然
下線あり太文字は後からの追記です。そもそも、半年で大きく意見が変わっているのでこの記事自体削除した方がシンプルかと思いますが、まぁ恥を晒すのも必要なことです。カーツの著作については、いつかまともな書評を書きたいもんです笑
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
最近は12月から本格的に読み始めたE.カーツの『アルコホーリクス・アノニマスの歴史』とW.ジェイムズの『宗教的経験の諸相』によって大きく気付かされたことに取り組んでいました。
それは、AAの12ステップは確かに絶望的なアルコホーリクであるならば、それだけを条件としてその場ですぐにただちに(原理的には)始められるものであるが、AAというフェローシップの歴史の理解は当然アメリカを中心とした思想史、宗教史、歴史、経済史などの一般的な理解を前提とする、という当たり前のことです。
特に読んでいて強く感じたのですが、カーツ自身が神学を学び、聖職者資格・経験があること、ハーバード大学で哲学博士号を取得も関連してか、キリスト教神学の思想史、そして哲学を含む思想史が前提とされている記述が多くあるな、というところです。
「新正統主義」「福音主義」「敬虔主義」「反知性主義」などなどの具体的歴史文脈の上で使われる言葉の内容を理解するにはどうしても思想史や神学の基本理解が必要です(もちろん、12ステップはそうではないです)。「新正統主義」と聞いて「バルトとかニーバーあたりかな」とイメージをつけるためには、神学の歴史を抑えておかないと難しいのではないでしょうか。他の用語にしても同様なはずです。ここで使われる「反知性主義」や「敬虔主義」という言葉は、特にプロテスタント神学の流れで理解しないとカーツの文脈からすれば外れそうな気がします。
いや、べつにプロテスタント神学(そもそもプロテスタント神学にも様々な文脈があるので、こう一言で片付けられるものではない)を抑えなくとも、常識的な歴史理解で十分だと思う。いやはや、勇足で恥ずかしい(21年7月24日追記)
私は大学生の学部生の時、ドイツ観念論を中心とした哲学を学んでいたのでW.ジェイムズの経験論的な立ち位置を感覚的に理解することはできましたが、アメリカの宗教思想史、キリスト教神学などはさっぱりでした。そこで、このお正月を利用して文献のサーチをしていました。
下記文献はそのアプローチから、カーツの前提を理解する助けになると私は思いますので、ご紹介します。主にプロテスタント神学の基礎文献とアメリカ宗教史に特化したチョイスです。
キリスト教史 藤代泰三
宗教からよむ「アメリカ」 森孝一
キリスト教でたどるアメリカ史 森本あんり
反知性主義 森本あんり
別に上記の本でなくとも、歴史書で十分ではあろうと思う。(21年7月24日追記)
傲慢で一方的すぎる意見になるかもしれませんが、通史であれば山川出版社の『アメリカ史』 や山川の世界史や政経の高校教科書(すごくいいです)で、また感覚的に雰囲気を知りたいのであれば当時を舞台にした映画や小説があるかと思います。また、いい歴史書もたくさんあるでしょう。ですがAAの歴史となるとどうしても哲学・宗教の思想史が強く影響すると思いますし、カーツもそのような宗教思想の文脈を前提に書いている部分があります。W.ジェイムズの『宗教的経験の諸相』は特にそうです。そして神学や宗教史のいい入門書って、なかなかないと私は思います。
なので、その歴史文脈を掴むための文献をチョイスしたのでした。また、学習は最初にチョイスする基礎文献がかなり勝負のポイントになるので、これを選ぶために10冊以上本を読んで参照しまくりました。まずとっかかりとしては、取り組むに値する文献をチョイスできたと思っています(半分は読みました、あと半分は未読です。でもまぁ、大丈夫でしょう笑)。
いや、これではマズイだろ、と最近思っています(21年7月24日追記)
私はこれから、とりあえず上記の基本文献を土台にしながらジェイムズの著作やアメリカの経済などの通史をぼちぼち読んでいく予定です。
上記の資料は『アルコホーリクス・アノニマスの歴史』や『宗教的経験の諸相』を読んで、さらに内容の理解を深めたい場合の第一歩の資料になるかと思います。また、なにか他の良い文献をご存知の方は機会があればぜひお教え下さい。
とかく重要なことは、AA共同体は社会の中のAA共同体であるので、決して歴史から断絶したなにかではない、ということです。AAメンバーとしてAAが何かを知りたいのなら、前提となる歴史や思想の基本は抑えなければならない、ということだと思います。ここでも大切なのは、謙虚に学ぶ姿勢を身につけていくことなのでしょう。
新年一発目の記事は文献紹介でした。