私たちは、皆さんに、自分なりに理解した神の導きに人生をゆだねることをお薦めします。今こそ、新しい「神の概念」を発展させていく時です。私たちは、ステップ10、11、12に毎日取り組むことで、それを行います。
『バック・トゥー・ベーシックス』p.157
私はアディクションの進行に伴って２つの仕事を連続して失い、精神と肉体の状態は悪化の一途をたどり、満足に動けない状態になりました。そんな状況の中で、持っているはずの力全てを使ってなんとか状況を改善しようとしていたのですが、自分の人生のコントロールを完全に失っている自分に気がつくことになりました。
そして私は20年2月からスポンサーを得て、12ステップに取り組みました。
私が確かに霊的に目覚めた、つまり、私の中の何かが崩れ、そして私なりに理解した神と出会ったのは20年4月13日です。その時のことは鮮明に覚えています。それは私の場合、ステップ５を実行した時でした。
それを無理に言葉にしようと思っていないのですが、プログラムを実行する中で、私の「私はなんのために生まれたのか、私はどこから来てどこにいくのか。生きることになんの意味があるのか」という私の問いに自分を超えた力から「応えられた」体験でした。
そこから何をしたか
霊的目覚めを得てから、私は毎日、ステップ10、11、12に取り組みました。しかしやったこともないことなので、多くの訓練がありました。習慣化していないことを毎日続ける、なにをやったらいいか正解がわからない、自分のやり方がまだわからない、どこまでの効果があるのかわからない、といった不確かさはかなりのストレスです。書いて書いて書きまくる、そして人や書物に教えてもらい実践することの繰り返しでした。
それでもなお、続けられたのは共同体の支えと、霊的目覚めの日から常に存在を感じている偉大な力のおかげです。ここでも、私にはできないことを私を超えた力は導いてくれました。
ステップ10、11、12を毎日続けなければ、霊的目覚めは失われていただだろうと思いますし、これからもそうでしょう。
何から始めたか
私はスポンサーとステップワークを始めた時は「ハイヤーパワーは雲のようなものだと感じる。なんか人の上にあるモクモクしたよくわからない雲のようなものなら信じられると思う」とよく言っていました。
プログラムを通じて自分を超えた力と触れ合って回復を得た、と言っている12ステップグループメンバーは何人かいたのですが、それはその人が成し遂げたようには見えなかったからです。その人たちのかつてどうだったか、の話を聞いていると、どう見てもその人自身に力があるように見えないけれど、しかし確かに変化していたからです。
それはその人が成し遂げたことではなくて、その人の上にある雲のようなものが成し遂げたんじゃないのか？それなら話はわかる気がする、と思いました。なので、私の神の概念の出発はそういったものです。
何が変化したか
霊的に目覚めてから毎日ステップ10、11、12を続ける中で、神の概念も変化していきました。ジョー・マキューとチャーリー・Pが「（ステップ10で）ステップ４、５、６、７、８、９を毎日やって今のままでい続けられる人は絶対にいないのです」と言っていたと聞きましたが、本当にそう思います。変化せざるを得ないのです。
私はさらに自分についての真実を学びましたし、今も学び続けています。
それはかつて私が頭の中で思い描いたような快適で力に満ちたパワフルな自己イメージではありません。自分には必要な力がないこと、ではあるが、確かに自分を超えた力は私を健康な心に戻してくれること、を日々実体験として知ることは素晴らしいことです。自分は神ではないけれど、確かに神は存在するということでした。
その真実を知っていくにつれて（もちろんそれは知り尽くせるものではありません）、私は私なりに理解した神を祈りと黙想を通じてさらに知り、体験していきました。
今どうなのか
今は、自分の神の概念を「これこれこのようなものである」と説明したい欲求を感じていません。その力は親切で、親しみに溢れ、暖かさと・・・とどれだけ言葉を尽くしたところであまり意味がないと感じているからです。ハイヤーパワーの前で、言葉が必要なくなってきました。
また、「あなたの神はどういうものですか？」と聞かれても私は答えることをしません。それは経験した事実であり、どんなに言葉にしてもしきれないからです。
しかし、1年前に信じようとしていた私なりに理解できる神の概念と、現在の神の概念は大きく違っています。さらに豊かに、大きくなったと言えるのです。
同時に、私は神が私にしてくれたことは分かち合いたいと感じています。その最大のものは「私を健康な心に戻してくださった」という事実です。私に起こった奇跡は、すでに数から見ると平凡なものだと思います。現在までに、全世界で12ステップを通じて何百万人もの人々がこの奇跡を体験してきました。私の経験はその何百万の実例の一つです。
私は今日も神の存在を感じる中で、平安と幸福を感じています。それはかつては決して感じることはなかったものです。かつて傷つけた妻とも今は2人で歩んでいます。そしてさまざまな支えが与えられ、新しく続けられそうな仕事も見つかる希望が具体的に見えてきました。生活も人間関係も、大きく変化しました。その変化は素晴らしいものです。
この文章を読むまだ解決を見つけていない人がいるのなら、私が気分を変える物質や行動に対する強迫観念と渇望現象によって、のっぴきならない絶望的な状況に陥り、しかしそこから、自分を超えた力によって救い出されたのだと私が実感していることは事実であると感じていただけたら嬉しいです。
私の力は役に立たなかったけれど、私を超えた力は確かに効果があったのです。
